クラビット(レボフロキサシン)を複数回に分けて投与する処方。

最近ではめっきり見なくなりましたが、この間久々にクラビットを分1以外で使う処方箋を見た。

 

クラビット錠250mg 2錠 分2 朝夕食後

 

当然疑義紹介するが変更はナシ。

何か意図があるのであろうか?

 

 

今の20代くらいの薬剤師は知らないかもしれないがかつては

 

クラビット錠100mg

 

という規格がありそれを1日3回で使っていたことがあった。

しかし、血中濃度を長時間維持するより最高血中濃度を上げたほうが殺菌効果も高く耐性菌の出現も抑制されるからという理由でクラビットは現在500mgを1日1回投与が標準となっている。

いわゆる濃度依存型に分類される抗生剤のため、回数を分けるメリットはないとされている。

 

100mg錠は5年前くらいまで後発品のみ販売されていた(クラビット100mgはそれ以前に販売中止になっている)が現在では上記の理由で完全に姿を消した。

 

反対にセフェム系マクロライド系などの抗生剤は時間依存型と言われ1日2回とか3回服用して血中に長い時間薬が漂っている状態にした方が効果が良いとされている。

 

ジスロマックSRも時間依存型のため、用法的には1回服用であるが実際には血中濃度が長時間(7日間)維持されるよう製剤設計がなされている。

また、SRでないジスロマックでは尿道炎・子宮頸管炎に使う場合は1回1000mgの投与となることがある。こちらはどうやらジスロマックが体内に吸収された後の体内動態の関係のよう。詳しくはわからないがこれらの原因となっている細菌のところまで届くのに体内をぐるぐる巡って1〜2週間くらいかかるらしい。届くまでにうまく分散されて結果的に持続型のように働くのだろうか?

 

そのほかに例外として耳鼻科などからくるクラリスロマイシンの1日1回用法なども良く見かける。

こちらは殺菌作用を期待しているのではなく主に抗炎症作用を期待しての少量長期投与療法なのでまた話は別である。

 

 

冒頭に記載の今回遭遇した250mgを1日2回飲む用法については、本来は500mgを1日1回にした方が効果はいいはず。

腎機能障害なども無いようだったし。

 

250mgでも効果は十分なのかもしれないがそれなら1日1回でいいしもう1回分の服用が無駄である。

まあ、疑義紹介は行ったし用量的に健康被害や耐性菌の問題も無さそうなので別に構わないけど。

 

 

逆だったらなんとなく嫌だな。

セフェム系の抗生剤を1日1回とかで出しちゃうやつ。

効果不十分だし耐性菌の心配も出てきそう。

 

もちろん、時間依存型のやつを1回で1日量飲ませる処方なんてのはもってのほか。

まあ、それは流石に無いか。