フリーランス薬剤師が増えることのメリット。経営者含めみんなハッピーでしょ!

管理薬剤師X:ああ、次のシフト人員厳しいな〜。しかも門前のクリニック来月土曜日当番医じゃんか!パートの佐々木さんもお子さんの運動会で来れないみたいだし〜
 
エリア長Z:それならフリーランスを発注してみたらどうだ?許可は通しておくよ。
 
管理薬剤師X:本当ですか!ありがとうございます。
 
 
そう言うと管理薬剤師Xは専用のサイトを開き、日付を入力し検索を押す。
するとその日に勤務可能なフリーランス薬剤師の一覧が表示される。
勤務可能時間、業務経験、希望報酬などなどの各種条件が表示されていて条件に合う薬剤師を自由に選べるシステムだ!
 
管理薬剤師X:この人が丁度良いな。コメント欄に「土日出勤大歓迎!」って書いてあるから、良い感じの人だったら今後も頼みやすくなるし。
 
そう言ってXはそのフリーランスをポチり、今月も無事にシフト作成を終えたのであった。
 
 
 
現状、フリーランス薬剤師という働き方はマイナーというレベルですらなくそんなもの存在しないという認識の方が多いように思えます。
しかし最近ものすごーくひっそりですがそんな働き方が広まり始めようとしているのではないかと感じています。
種から白くてちっさい芽がひょっこり顔を出し始めたくらいのレベルの小さな変化ではありますが。
 
私としてはフリーランスという働き方がある一定以上の規模まで大きくなってくれたら業界全体に好影響があると信じています。
それはフリーランスとして働く薬剤師だけでなく、経営者や正社員として働く薬剤師にとってもです。
 
 
仮にですが、フリーランスの薬剤師が全国で大幅に増えいつでも誰かしらにスポットで仕事を頼めるようになった場合の世界を想像してみましょう。
冒頭の管理薬剤師Xのように旅行サイトの予約をするような感覚で、人員が必要な日付をカレンダーから選んでクリックするとフリーランス薬剤師の発注ができる。なんてことになったとしたら。
 
 
 

1、経営者のメリット

 
・人件費を適正化し効率的な経営が可能となる。
・有給消化率の向上など職場環境の改善ができる。
・急な欠員に怯えずに済む。
 
私の想像の限りですが、大きいのはこの辺りでしょうか。
 
どこの薬局でもそうだと思いますが、人員のコントロールは非常に難しいです。
曜日や時間帯によって4人必要なところもあれば2人で済むところもある。
また、花粉症の時期は忙しいけど夏の間は比較的暇であるなど季節によっても大きく変動したりする。
 
最近のコロナの状況では処方箋枚数が全体的に減っているようですが、私が勤めている調剤併設ドラッグストアでは逆に処方箋は増え続けています。
感染のリスクを嫌い、混雑する門前薬局を避け自宅近くのドラッグストアを選ぶ患者さんが増えているためです。
 
このように様々な要因で繁忙度が変動するため、正社員で人員を揃えようとすると確実に人員過剰となる。
直接的な人件費もそうですが、正社員を雇う場合の福利厚生費や社会保険料の折半分の負担など雇うだけで嵩む費用が多くあります。
 
そこで現在活用されているのがパート薬剤師ですが、こちらは曜日による変動の問題は解決しやすいですが季節変動には対応しにくいです。
また、パートさんは主婦の方が多いため17時までしか働けなかったり土日不可といった条件になりがちです。
そうなると夕方のピークに対応するために結局正社員を入れなければならなかったりします。
 
しかしフリーランスがいつでも頼めるようになればこういった問題を解決できます。
 
例えば私なら時間も曜日も基本的にいつでも良いですが、
強いて好みを挙げるとするならば
 
1、時間は朝よりは夕方寄りが好き→朝にサーフィンしたいため。
2、土日出勤は大歓迎→出かけるなら空いてる平日が良いから。
3、季節的には冬に多く仕事したい→寒いのが苦手なので暖かい薬局内で仕事をしていたい。
 
などがあります。
 
1と2は先述のパート人員の弱点を補うことができます。
3についても冬はインフルエンザや風邪が流行る時期なので繁忙になりやすいため普段より人員を必要とする薬局が多いと思います。
 
「冬の期間だけ応援を頼みたい」とか「夕方の短い時間だけ働いてほしい」といったスキマを埋めるような頼み方をすることができるのです。
経営者にとっては人件費を適正化できる良いシステムなのではないでしょうか?
この例の場合、私もプライベートと仕事を効率的に回すことができるのでwin-winですね。
 
また最近は働き方改革の流れで有給取得の義務化も始まりました。
違反した事業者には30万円以下の罰金が課せられるとのこと。
 
罰金を払う→有給消化率下がる→薬剤師の離職増や採用難(採用コストも増)→更なる人員不足で有給取得させられず
 
と言った負のスパイラルに陥るくらいなら
 
有給取得させる→フリーランスで穴埋め→社員の満足度向上、有給消化率向上→モチベーションUP、採用率UP、業績UP
 
こんなトントン拍子の好循環が絶対生まれるとは言えませんが、少なくとも上の負のスパイラルよりは断然良いですよね。
フリー薬剤師を5日間使ったところで罰金の30万よりは全然安いでしょうし。
 
このようにフリーランス薬剤師が沢山増えれば経営者にはメリットが多いのではと思います。
 

2、正社員のメリット

 
・様々な刺激を受けられる
・シフト管理が楽になる
・待遇面にも好影響?
 
パッと思いつくのはこのくらい。ほかにも良い影響あると思います。
 
正社員として同じ店舗に長年勤務しているとどうしても業務がマンネリ化しがちです。
時々ある異動により確かに最初は刺激を受けますが、3ヶ月もすれば慣れてしまします。
しかも異動先の新天地とは言えそこに居るのは同じ会社の人間です。
実は刺激を受けているつもりでも、その刺激は業界全体的な視点から見たら非常に小さなものかもしれません。
 
しかし、
”急な欠員補充の度に”
”従業員が有給を取るたびに”
”繁忙期のヘルプを手配するたびに”
 
社外のフリーランス人員が来るとしたらどうでしょう?
変化を嫌う人にとっては鬱陶しく感じるかもしれませんが、日々自己研鑽を意識している薬剤師にとっては嬉しい刺激となるでしょう。
 
「こういう考え方、やり方もあるのか」
「こんな情報知らなかった」
 
といった気づきや
 
「これについてはどう思いますか?」
 
など社外の人間と議論をすることでより良い仕事ができるようになるかもしれません。
 
 
シフト管理についても急な欠員の時に管理薬剤師が休日出勤して・・・
なんてところも多いと思いますが、フリーランスを頼むという選択肢が増えればかなり楽になるかと思います。
有給もとりやすくなるというのは先述の通りです。
 
正社員の待遇面に関してもひょっとしたら良くなるかもしれません。
 
今まで採用コスト等にかけていたお金
余剰人員を抱えていた分のお金
 
などの浮いた分はずっとその薬局にいて薬局を守ってくれている正社員に還元しよう!
と考えてくれる経営者の方がいるかもしれません。
 
そんな直接的な影響ではなくとも自動分包機や軟膏の混合器の購入などを通して業務が楽になるといったことはあるでしょう。
 
 
 

まとめ

フリーランスの母数が増えれば夏働きたい人、冬働きたい人、夜働きたい人、朝働きたい人などの多様性が生まれてくるのでその多様性で全ての時間帯をカバーできるようになるでしょう。
派遣で良いような気もしますが、派遣は数ヶ月〜1年程度の中期的な人員補充に向いているとは思いますがスポットには対応しにくいのではないかと思います。
 
「少しだけ足りない」「急だけど来てほしい」「この時間だけなんとか」
と言ったスキマを埋め、地域の薬局全体の潤滑油のような存在として。
フリーランス薬剤師はそんな存在として利用価値があるのではないかと思いますよ。